読書録

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『虚子に学ぶ 俳句365日』 

    『虚子に学ぶ 俳句365日』 週刊俳句=編  草思社 1500円

 高浜虚子は生涯に20万句を超える句を詠んだといわれていますが、
 その中から抄出された365句にコンパクトな解説がついています。
 1日1句365日、春夏秋冬に身をおきながら読んでゆくと楽しいかもしれません。
 「この句のココがおもしろい」「ココが作句の参考になる」といった
 「俳句のヒント」が並んでいると思ってさしつかえない・・・とのことです。
 初心者、これから俳句を始めようという人に向けてわかりやすい解説を心がけたそうです。
 執筆者は相子智恵・生駒大祐・上田信治・神野沙希・関悦史・高柳克弘と若手中心です。
 
  

  コラムもあります。
  
  正岡子規と高浜虚子
  雑誌「ホトトギス」と虚子
  花鳥諷詠と虚子
  台所俳句と虚子
  第二芸術論と虚子
  虚子を楽しむためのブックガイド
  虚子をもっと楽しむためのブックガイド
                  以上6篇。
巻末に参考文献

  【本文より】
     
     3月20日
 水に浮く柄杓の上の春の雪
  
  つくばいか湧泉のようなものの水に、ふわと浮かんでいる柄杓の上に、さらにふうわりと、
  春の雪がのっています。写真のように印象鮮明で、虚子の唱導した「客観写生」を
  代表する秀句と思われるのですが、なぜか句集『五百句』には入っていません。
  「選は創作なり」と言い、選句眼に絶対の自信をもっていた虚子なのですが、
  自身の句集、特に『五百句』の選句の基準には、後世から見てよくわからない
  ところがあるのです。(上田)

    4月10日
  咲き満ちてこぼるゝ花もなかりけり

桜の花の満開のさまを、これほど単純にしかも美しく言葉にした句は、そうはないはずです。うっとりと見上げる視線の先、器に満々としてこぼれない水か酒のように喩えられているのは、一つ一つの花びらでもあり、一樹の、または今咲くすべての桜の花の総体のようなものです。虚子の唱導した「花鳥諷詠」を代表する名吟と思えるのですが、この句もまた、句集『五百句』には、選ばれていないのです。(上田)
 

1人の執筆者を追って読むと、句集『五百句』の選の基準について問題提起があったりします。これも醍醐味のひとつ。
  
帯に現代的で面白い、わかりやすい、高浜虚子の俳句は最良の手本だ!と銘打ってあります。なんだか通信販売のキャッチコピーみたいです。とは言え、現代の視点で新たにされた高浜虚子の一面を見ることができます。
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by m4s1o3u6e2n9t1n7y | 2012-04-10 10:12